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POT CROSS STUD。交差するスタッズがつくる密度

植物

鉢の表面に、無数の突起が交差しています。光が当たるたびに、その一つひとつが小さな影を落とし、黒い面は細かく分割されていきます。

POT CROSS STUD は、SOCIAL PLANT WORKS の PLANT POT のなかで、もっとも情報量の多いモデルです。装飾を削ぐことを基本に置いてきたブランドが、なぜ密度の方向へ振り切った鉢をつくったのか。

交差するスタッズが何をしているのか。そしてこの鉢が、どんな株と組んだときに成立するのか。設計の側から順に見ていきます。

この記事の要点

  • 交差する多面スタッズは、光を細かく分断して陰影をつくるための構造。
  • 密度の高い表情は、輪郭で見せる株よりも、面と肌で見せる株と組んだときに効く。
  • 内壁のサークリング防止スリットと着脱式の PEACE HONEYCOMB MESH が、育てる側の機能を担う。

交差するスタッズは、光を分割するための構造

マットな黒は、光を反射しません。だから黒い鉢の造形は、色ではなく陰影だけで読まれます。面をどう割るか、どこに稜線を立てるか。それがそのまま、鉢の表情になります。

POT CROSS STUD のボディには、多面体のスタッズが全面に配置されています。しかもそれが縦横に整列するのではなく、交差するように組まれている。結果として光は一方向にまとまらず、細かい明暗が同時に立ち上がります。

同じブランドの POT THUNDER が稲妻状の線で陰影に方向を与えているのに対し、POT CROSS STUD は方向を持たない密度で面を埋めます。線の鋭さではなく、粒の硬質さ。同じマットブラックでも、光の扱い方が違います。

POT CROSS STUD SIZE L 5号サイズ鉢|多面スタッズが交差するマットブラックのロングプラントポット
POT CROSS STUD SIZE L。縦に伸びたプロポーションに、スタッズの密度が連続する。

密度の高い鉢は、どんな株と合うのか

鉢の情報量が上がるほど、株に求められる条件は変わります。鋸歯やトップスパインで輪郭を主張する株と、全面にスタッズの入った鉢を組み合わせると、視線の行き場が分散します。どちらも強いので、互いを削ってしまうわけです。

逆に、面と肌で見せる株とは噛み合います。鉢のディテールが細かいぶん、株側は大きな塊として読まれる。密度と塊という役割分担が成立します。

  • 幹の肌で見せる塊根植物。表面の荒れや節が、鉢の粒と呼応する。
  • 棘が少なく、葉が厚く締まったタイプのアガベ。輪郭が静かな株ほど収まりがいい。
  • 柱状・棒状に立ち上がるユーフォルビア。垂直の線に対して、スタッズの横の広がりが対比になる。

曲面で受け止める POT MELT とは、ちょうど逆の考え方です。どちらが優れているという話ではなく、株のどこを前に出したいかで選び分けるものだと考えています。

4号と5号。株の輪郭からサイズを決める

POT CROSS STUD は 4号サイズの SIZE M と、5号ロングの SIZE L の2型です。寸法は次のとおりです。

モデル 外寸 内寸 想定する株
SIZE M(4号) 約φ130mm × 高さ 約140mm 約φ125mm × 深さ 約130mm アガベの中株、コーデックス、多肉植物
SIZE L(5号ロング) 約φ150mm × 高さ 約160mm 約φ145mm × 深さ 約150mm アガベの大株、深さを使う塊根植物

寸法には個体差があります。選び方の基準そのものは アガベの鉢、どう選ぶ? で整理していますが、要点は同じです。株の葉張りに対して鉢は一回り小さいくらいでちょうどいい。SIZE L は口径が大きくなるだけでなく深さも増えるため、横に広げたい株より、下に潜らせたい株に向きます。

マットブラックとアーバングレー。素材が質感を決める

POT CROSS STUD には、同じ造形で2つのカラーがあります。違いは色だけではなく、素材そのものが異なります。

カラー 素材 表情
マットブラック PLA-CF 光を吸い、陰影だけで造形を読ませる。軽量で割れにくく、屋内外どちらでも扱いやすい
アーバングレー ROCK PLA 粒子感のある石のような質感。無彩色のまま明度が上がり、株の影を受け止める

アーバングレーは、素材の性質として粒子感や色味の差が出ます。工業製品のように揃わないことが、この色の質感をつくっています。コンクリートや石の床、グレーの壁面に置いたときに、鉢だけが浮かないのもこのカラーの性格です。

POT CROSS STUD GREY SIZE M 4号サイズ鉢|ROCK PLA素材のアーバングレーのプラントポット
POT CROSS STUD GREY SIZE M。同じ造形を、明度の違いで読み替える。

見えない部分が、育てる時間を支える

外側の密度と同じだけ、内側にも設計があります。鉢を手に取ったときには見えず、植え込んでからさらに見えなくなる部分です。

内壁のサークリング防止スリット

鉢の中で行き場を失った根は、内壁に沿って円を描き始めます。これがサークリング(根回り)です。POT CROSS STUD の内壁には縦方向のスリットが設けられており、根が壁面を辿り続けられないため、下方向へ素直に伸びやすくなります。

着脱式の PEACE HONEYCOMB MESH

底面は、目の細かいハニカム状のメッシュです。排水と通気を底面全体に分散させながら、細かな用土はこぼれにくい。基本的に鉢底ネットを使わず、そのまま植え込めます。中央にはブランドのショートロゴ「SPW」が入ります。

この底面はセパレート構造で、取り外せます。植え替えのときは底面パーツを外し、鉢底側から根鉢を押し出せる。深さのある SIZE L でも、株を無理に引き抜く必要がありません。根鉢をほどくときは SOIL STICK SPEAR が使えます。先端の二股は繊細な部分です。根を軽くほぐす程度にとどめ、強い力でこじらないでください。

底面から抜けた水は、受け皿に溜めたままにしないほうがいい。LOGO SLIT PLATE のようにスリットの入った受け皿を合わせると、鉢底と皿面のあいだに隙間ができ、鉢底が水に浸かり続ける状態を避けられます。

LOGO SLIT PLATE|スリット構造で鉢底を浮かせるブラックの受け皿 S・M・Lサイズ
LOGO SLIT PLATE。鉢底と皿面のあいだに空気の層をつくる。

よくある質問

マットブラックとアーバングレー、どちらを選べばいいですか?

株の色で分かれます。葉が濃い緑や青みを帯びた株、幹が黒ずんだ塊根植物はマットブラックで輪郭が締まります。白みの強い鋸歯や、明るい肌の幹を持つ株は、アーバングレーのほうが株の明度と近く、全体が一つの塊として読めます。置き場所の床や壁の明度に合わせる選び方もあります。

スタッズの凹凸に、土やホコリが入りませんか?

スタッズは外側の造形で、鉢の内部とはつながっていません。表面に土が乗った場合は、乾いた筆や刷毛で払うときれいに落ちます。マットな質感のため、水拭きよりも乾いた状態で払うほうが跡が残りません。

鉢底ネットは必要ですか?

基本的に不要です。底面の PEACE HONEYCOMB MESH が目の細かいメッシュになっているため、そのまま植え込めます。ただし用土の粒径が細かい場合は、メッシュから落ちることがあります。細粒の用土を使うときは、鉢底に軽石などの粗い粒を一層入れておくと安定します。

SIZE M と SIZE L で迷ったときは、どちらを選びますか?

いま使っている鉢から一号だけ上げる、という刻み方がいちばん失敗が少ない選択です。4号の鉢で根が回り始めているなら SIZE L、それより小さい鉢からの植え替えなら SIZE M が目安になります。迷ったときは小さいほうを選んでください。

密度は、静けさと両立する

情報量の多い鉢は、一見ブランドの考え方と逆を向いているように見えます。けれど、スタッズが生んでいるのは柄ではなく陰影です。色を足さず、線を描かず、面の割り方だけで表情をつくる。離れて見れば、POT CROSS STUD はただのマットな塊として空間に収まります。

近づけば密度があり、引けば静かである。その両立が、この鉢の設計意図です。

POT CROSS STUD は SIZE M と SIZE L、そして GREY SIZE M と GREY SIZE L を展開しています。ほかのモデルと見比べながら選びたい方は、PLANT POT の一覧もあわせてご覧ください。

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